村上春樹著「1Q84」とNLPのネステッドループ

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村上春樹の1984を読了。

 

村上ワールドの緻密さは実に見事である。

久しぶりに、村上小説の世界にどっぷりと浸ってしまった。

 

読み進むうちにはたと気づいたことがある。

それは、物語の構造が見事にネステッドループになっていることだ。

 

ネステッドループと言うのはNLPの専門用語である。

簡単に言えば、物語の中に物語が入っているという構造だ。

 

視覚的に表現すれば、人形の中に人形が入っているような作りだ。

換言するならば、ロシアのマトリョーシカ人形のようになっている。

 

そのような仕組みになっている物語は決して特殊ではない。

例えば、宮崎駿作「千と千尋の神隠し」は、ネステッドループの典型だ。

 

物語は、オープニングの引っ越し場面から、あるできごとを境に、異界へ転換する。

転換した後の物語は、異界の中でクライマックスへと進み、ハッピーエンドとなる。

すると、またあるできごとを境に物語は中断していた引っ越し場面として終わる。

 

このように、一見普通の引っ越しが、特殊な物語を含有している構造をもつ。

これが、千と千尋色の神隠しに見るネステッドループの典型だ。

 

先に見事にネステッドループになっているといったが、

その構造は単なる入れ子構造ではなく、二重らせん構造となっている。

 

ネタばらしならない程度にもう少し詳しく説明しよう。

Q84は、青豆と天吾の二人が主役として展開していく。

青豆にはマルタが、天吾にはフカエリがかかわってそれぞれの話は広がる。

 

その展開は、章立てをみると分かるが、

奇数章は青豆であり、偶数章は天吾となっている。

その構造は、BOOK1の第1章の青豆で始まる。

そして、BOOK2の第24章の天吾で終結を迎える。

 

こうして、1Q84は二重らせん構造となっている。ただし、二重らせんは単に並行して進むのではなく、BOOK1のある部分で交わる。そして、交わったあとは、また並行した二重らせんのように進む。だが、BOOK2の終わりに向かって見事に交わり終結する。

 

この二重らせん構造は、青豆の章から見れば、天吾の章は入れ子になる。

逆に、天吾の章から見れば、青豆の章は入れ子になる。

 

こうして、互いにネステッドループを形成している。

この構造は見事である。

売れるハリウッド映画の多くはこの構造を持つ。

だから、映画の世界が聴衆を魅了するように、この小説は読者を捉えて話さない。

 

ではこの二重らせん構造はどのような影響を私にもたらしたか。

BOOK1の2章の天吾に入ったてしばらくしないうちに構造に絡み取られてしまった。

つまり、読み始めたら、やめられなくなり、寝食を忘れて丸一日、読みふけってしまったのだ。

そして、読み終わった時、二つの物語は鮮やかな一つの結晶となって私の中で輝いた。

 

BOOK1の伏線がBOOK2で見事に完結するように書き込まれていた

もちろん、伏線がどこかで完結する香りは、話すが進むにつれて強くなる。

そうであっても、2重らせん構造が手伝って、興味はさらに広がった。

 

と言うのは、それぞれの物語は終章に向かって、対位法をなして響くからだ。

その進行は、まるでバッハ作「フーガの技法 BWV 1080」のようだ。

このように、村上春樹が構築したネステッドループの効果に私は魅了されたわけだ。

 

さて、NLPのネステッドループに関しては、わかりやすい事例を寡聞にして知らなかった。

だが、村上春樹の1Q84が私の中で実に見事にネステッドループの典型となった。NLPのメタファーおよびネステッドループを学ぶのであればQ84は必読の書であろう。

 

そうでなくても、読み始めたら止められない、興味深い長編小説である。

長編だからといって読書の秋まで待つのはもったいない。

 

今すぐに1Q84を読まれることお勧めする。

たぶん素晴らしい真夏の夜の夢があなたを待っているだろう。

 

記:NLPトレーナー 近藤哲生

 

 

 

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